卒業生からのエール

在学中の思い出を恩師と話ながら当時どう感じていたのか、後輩と語り合いながら自分はどうだったか話ていただきました。
その中で見える、私たちのビジョンとは。

体験入学

※令和4年度時点

志學館で学んだことを、
社会へ恩返ししたいんです。

先輩から受け継ぐもの、後輩たちへ手渡すもの

志學館には、「先輩が後輩の面倒を見る」という伝統があります。医学の道を目指して志學館に進学した弓削千賀子さん(33期生)は現在高等部1年生。志學館24期卒業生で、鹿児島大学医学部6年生の久木田武應さんから、同じ志を持つ後輩へ、エールを送っていただきました。

志學館に進学したきっかけはなんですか?

弓削さん(以下弓削) 私には、小学4年生くらいの時から、漠然とですが「医学を学びたい」という思いがありました。特に理科の“人体”の勉強が好きで、心臓の写真を見ながら、夢中になって「心臓弁」の名前をノートに書き写している、ちょっと変わった子だったんです(笑)目的がはっきりしていたので、進学校の志學館以外は受験しませんでした。決め手は、パンフレットを見て、生徒さんたちの笑顔が自然体だなぁと思ったことかな。入学してみたら、本当に明るい雰囲気で。選んでよかったなあと思ったんですけど、先輩はどうでしたか?

久木田さん(以下久木田) 僕も、「穏やかな雰囲気の人が多いな」というのが入学して最初の印象でした。中学生って多感な年頃だけに、“安心して学べる環境”が自分にはとてもありがたかったです。親が歯科医なので、医療関係の仕事を意識してはいましたが、入学当初は明確な進路は決まっていませんでした。中等部3年生の時、進路に悩んだ時期があって。そこから真剣に調べ始めて、医学部を目指そうと決意が固まったんです。弓削さんは、小学4年生で目標を持てて、すごいね。

弓削 私も、本気で決意したのは志學館に進学してからです。まわりにも、医学部を目指している友達が多かったので。

久木田 やっぱり、友達の存在って、大きいよね。

弓削 はい。同じように医学を志す人たちと出会って、本気で医学部を目指そうと思えるようになりました。


自由だからこその、責任感

志學館のどんなところが好きですか?

久木田 「校則がなくて、自由なところ」でしょうか(笑)たとえば文化祭の時も企画から段取り、運営まで全部自分たちで自由にさせてもらえるんです。

弓削 (うんうん!と頷きながら)わからないことは先輩たちが色々教えてくれたり、一緒に悩んでくれたりするので、学年を超えてみんな結構仲いいですよね。

久木田 志學館の“先輩が後輩の面倒を見る”という伝統や、“自分達で主体的に何かをする”という経験が、大学に入ってからの勉強にも役立っていると感じます。また、自由と言っても“なんでも好き放題できる”ということではなく、責任が伴うもの。信頼して任せてくださった先生方にもあらためて感謝しています。

弓削 私は塾に行っていないので、勉強でわからないことを、放課後先生に聞けたり、個別に教えてもらえたりするところも助かっています。

久木田 僕も、中学受験の時は塾に通っていましたが、中等部に入学してからは塾には行っていませんでしたよ。高等部になると、添削指導を希望すれば、先生が個々のレベルに応じた入試問題などを準備してくれたから。弓削さんはまだ1年生だから、これからだね。添削指導を希望するの?

弓削 はい、もっと理解を深めたいので、添削指導を希望しようと思っています。先輩は塾に行かなくても医学部に入れたんですね。安心しました。医学部に入ってからの勉強って、大変ですか?

久木田 大変です(笑)でもそれ以上に、今まで知らなかった世界を知ることは、とても興味深くてワクワクします。勉強のコツは、とにかく反復することかな。


自社会貢献が、ゴールでありスタート!

今後の展望を教えてください

久木田 「これまで育てていただいた恩返しをしたい」と思っています。今、目指している医師という仕事は、人の命に関わったり、人に寄り添ったりできる職種なので、仕事を通して社会貢献することが、僕にとっての“恩返し”だと思っています。

弓削 これ、初めて言うんですけど。私は医師になって、発展途上国で困っている人たちの支援をしたいと思っているんです。小学生の頃からずっと考えていたことなのですが、大きすぎる夢だから、今まで誰にも言えませんでした。ある時、アフガニスタンで支援に当たっていたペシャワール会(平和医療団・日本)の中村哲医師が現地で銃撃されて亡くなったニュースを見て。(思わず涙ぐむ)…なんか、困っている人たちがいて、それを助ける人までこんな形で亡くなってしまったら、一体この人たちを誰が助けるんだろうって思ったとき、“私がやりたい”って強く思ったんです。
自信がなくて、ずっと黙っていたんですけど、この学校に来て、“お医者さんになりたい”という同じ志の友達の存在が励みになって、なんか、頑張れそうな気がしてきたんですよね。

久木田 すごいね。志學館の後輩は志が高くて本当に尊敬します。僕もいつか、同じ医療の現場で活躍できる日のために、負けずに頑張ろうと思います。

体験入学

※令和4年度時点

信じて待ってくれる人がいる、
私たちの出発点です。

かけがえのない大切な人に、きっと出会える

この日、卒業生が恩師を訪ねました。16期生の林田芳弘さんと、林田ゆりえさん(旧姓阿南さん)ご夫婦です。先生たちとは、卒業以来の再会だそう。4年前に結婚された同期生のお二人は、それぞれ弁護士と薬剤師として、社会でご活躍されています。夢を叶えるまでのストーリーや、その礎となった志學館での思い出を、懐かしい教室で語りあっていただきました。

高校時代はどんな生徒さんでしたか?

芳弘さん(以下芳弘) 私は、志學館時代は、あまり勉強しない子でした(笑)それが、大学受験での挫折が引き金となって“勉強スイッチ”が入ったんです。そこからは、ただひたすら勉強に打ち込んでいました。

金丸先生(以下金丸) よく来たね。大学に進学した卒業生たちが、よくここに遊びに来ていたけれど、芳弘君は絶対に顔を見せようとしませんでした。大学受験で希望していたところに行けなくて、「結果を出す!」と決めて頑張っていたようです。

芳弘 社会に出て、受験だけが全てではないと知りましたし、自分が社会に貢献できることは何かを考えるようになり、「資格を取らないといけない」と思ったんです。それまでは、胸を張って学校に行けないと思っていました。

池田先生(以下池田) 一度、お手紙をもらったことがあるんですよ。芳弘君の意志の強さを感じるお手紙でしたね。

芳弘 覚えていてくださったんですね。たしか、「司法試験を目指します」という報告だったと思います。

金丸 まさか、弁護士になるとは。その時は想像もできなかったよね。

池田 本当に。どれだけの努力を重ねてきたか。よく頑張られましたね。


みんなが知ってる!?二人の馴れ初め

4年前にご結婚されたお二人は、高校2年生の時からのお付き合いだそうですね

芳弘 三者面談の時、進路のことより、「君たち、付き合っているのか」と先生から聞かれたことを覚えています(笑)

金丸 そうそう!タイプの全く違う二人だったからね。芳弘君が野球部で、ゆりえさんが野球部のマネージャーだったよね。

池田 なるほど、その繋がりだったのね。ちょっと意外な感じで、話題だったわよね(笑)

芳弘 母からも、「きっと勉強より、そっちの方を聞かれるだろうから覚悟しときなさい」って(笑)

池田 正統派でコツコツ型のゆりえさんと、活発で朗らかな芳弘君。勉強面でも対照的な二人だったけど、お互いに感化されなかったの?

芳弘 残念ながら、全く。勉強面では、彼女の応援に徹していました。

(一同笑い)

池田 ゆりえさんは、慶應大学の薬学部1期生でしたね。目標に向かってひたむきに勉強していた印象があります。

ゆりえさん(以下ゆりえ) 私は、ずっと「慶應大学の薬学部に行きたい」と思って勉強を頑張っていました。周りも、よく勉強する友達が多かったので、それほど苦にはならなかったですね。念願叶って入学した後は、彼とは反対に“遊びスイッチ”が入ってしまって(笑)そんな私にお構いなしで勉強している彼の姿を、「まるで人が変わったみたい」と思って見つめていました。

現在は、どんなお仕事をされていますか

ゆりえ 薬剤師として製薬会社で新薬開発に携わった経験を生かし、製薬会社から依頼を受けて、薬の添付文書(お薬に添付されている説明書)を作成する仕事をしています。一般的な薬剤師の仕事とは少し違って、医療従事者のための専門的な説明書なんです。薬の開発が今まで以上に求められる時代ですから、世の中の人たちの役に立つ仕事をしていけたらいいなと思っています。

芳弘 私は、「お客さまに真摯かつ誠実に向き合う」をモットーに、鹿児島で弁護士として働いています。弁護士の仕事は、お客さまの声に耳を傾け、不安を取り除き、一歩踏みだすためのサポートをすること。“人に寄り添う姿勢”など、大切なことは、志學館の先生や先輩、友達とのふれ合いの中で、自然と身についたものかもしれません。

金丸 志學館の教育理念「確かな学力、豊かな人間性、たくましい行動力」を、しっかり受け継いだ模範の二人ですね。私は芳弘君が高一の時の担任でしたが、何より、ゆりえさんみたいな素敵な人を見抜く力も、勝因だったんじゃないかと思いますよ。


信じて進めば、きっと、できるよ!

これから志學館を目指す人へ、エールをお願いします

芳弘 「目標を本気で目指してください、いつか必ず報われます」と伝えたいです。まずは、目標を見つけることが大事だと思います。

金丸 説得力がありますね!

ゆりえ 私は、志學館で、一生大事にしたいパートナーや友だちに出会うことができました。これから志學館で学ぶ人たちも、きっと、人生を共にする大切な人たちが見つかると思います。

お二人の仲の良さの秘訣はなんですか?

芳弘 お互いを尊敬して、尊重することです。

(一同納得!)

池田 全てに通じることですね。二人が仲良く、社会で活躍されている姿が、何よりの実証です。

金丸 私たちも見習いたいと思います。こうして教室で話していると、当時の面影が浮かんでくるよ。子供たちの成長や人生を見守れることは、教師にとって、何にも変え難い喜びです。今日は本当にありがとう。